リーマン

【ゲイ】女形の男の娘さん、中堅商社のリーマンとして働いた結果

拭い取れない女形

女形の私が、サラリーマンになって五年間も勤められたのです。

普通の男性として生きてゆかねばならないと思っていました。私は決して性同一性障害だったわけではありませんし、ホモセクシュアルでもありません。ただ母ひとり子ひとりの家庭で、生まれつき虚弱児で、性格も弱々しいため、男らしく育てるのは無理と思った母が、もともと女の子が欲しかったこともあって、私を女の子のように育てたのです。

でも小学校に入った頃は母も普通の男の子になればと努力したようですが、食は細いし、すぐに熱をだすし、自分より年下の女の子にでも泣かされて帰って来たそうです。

家に男性がいないし、母の日常の仕草、会話で育った私は男らしい仕草、言葉使いも知らないで育ちました。普通は学校生活で男らしくなるのでしょうが、意気地無しなので、男の子の中に入っていけない私は友もなく、いつもひとりぼっちでした。

女の子とも、いじめられるのが怖くて仲間入りできませんでした。だから私は立ってオシッコをした経験がなかったのです。母も教えてくれなかったと思います。しゃがんでオシッコする私に何も言わなかったのですもの。

だから私は、小学校六年生まで普通に母と一緒に女子トイレにも、銭湯の女湯に入っていました。ひとりで男トイレにも男湯にも入ることはできませんでした。ただ周りの人から言われて、自分でも六年生にもなって、男のくせに女専用の場所に男が入ることは恥ずかしいことなんだと考えるようになってきました。

六年生の時、母と銭湯に行っての帰り母が知人とおしゃべりしているので、私ひとり先に出て下駄箱から靴を出そうとしていたら、男湯の方から出てきた四、五年生の男の子二人が、女湯の下駄箱にいる私を見て「お前、六年生だろ 男のくせに女湯に入ってるんか」と声をかけてきました。

私はかかわりになるのが怖くて黙って靴を履こうとしてましたら、「何とか言えよ」とひとりの子に頭を小突かれました。

それだけで私は泣きそうになって「ママと一緒に来たの、もう堪忍して」と言って女湯の扉を開けて逃げ戻りました。母は知人との話が終わって外に出ようとしていたのでちょっと待ってと母の腰にすがりつきました。

「どうしたのよ一体」

「外にいじめっ子がいるから、もうちょっとここに居て」

「いじめっ子? そんなものママが、とっちめてあげるから」

と、かまわず私の手をとって出ました。玄関にはいなかったのでちょっとほっとして銭湯の外に出ると少し離れた所からニヤニヤ笑いながら見ていました。私は母にぴったりくっついて手をしっかり握りうつむいていました。

「よぉ 六年生の女形 六年生のおんな男」

母がにらみつけてるのにもかかわらず平気で、はやしたてました。私は彼等に言い返すこともできず、早く行こうと母を引っ張っていただけです。

家に着くと「あの子ら、ふみちゃんより年下じゃない? しっかりしなさい」と言われ、こらえきれずしくしくと泣き出す私でした。

それで中学生になってからは、母に何と言われようと銭湯には行かなくなりました。あの日以後も行かないと母に訴えたのですがひとりで男湯に入る勇気のない私は母に逆らうことは許されず相変わらず女湯に連れていかれていました。

さすがに母も中学生はまずいと思っていたのか、女湯に連れていかれることはなくなりましたが、ひとりで男湯に入るようにと言われ続けていました。私は仕方なく「うん」と生返事をするものの男湯に入る勇気のない女形を抜け出せないで家でたらいにお湯を入れてもらい、体や頭を洗ってもらっていました。

そんな私に業を煮やした母が、小学生の女の子の下着を買ってきて小学生時代の私の半ズボンや女の子が着るティーシャツなど男の子にも女の子にも見える格好をさせ、家から大分離れた銭湯に連れて行ったことは以前書いたとおりです。

小学生なら六年生の男の子でも女の子みたいにズロースをはかされてる子なら女湯に母親と一緒ならば平気だろうと思ったのです。私の華奢な体つきと幼稚園児並の男性器からでも仕方ないと考えてもらえるとも思ったのです。

ところが、私はすぐに男の子ではなく、女の子と思われてしまったのです。それから母は自信を持ってしまい、どんどん私を男の娘的にさせていったのです。

そんな私でも有力なコネのお陰で一般職とは言え、中堅商社のサラリーマンになれたのです。ただ学歴のせいか、私自身の面接試験の印象のせいかわかりませんが配属先は総務部庶務課でした。たとえ専門職新入社員でも出世コースとはとても言えない部署です。

でも私はむしろほっとしました。やはり課長、課長代理、課員五名のこぢんまりした課で課長と主任が男性で代理と課員三人が女性です。私の仕事も辞めた女子の代わりでした。女子平社員の三名と私が一般職で短大卒と言え女子社員扱いです。

やっぱり私は男としては認めてもらえない存在なのかしら。でも五年間も会社勤めが続くなんてその頃全然想像できませんでした。

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